表参道の結婚式場と友人夫婦がくれたもの

2012年2月19日

「君にはプリンセスラインのウエディングドレスが似合うと思うよ」と、男の友人に言われたことがある。彼は、デザイナーを生業にしているわけではない。理系の研究者だ。大好きな彼女との結婚が決まり、結婚式場めぐりをしまくり、ドレスの試着に付き添いまくり、彼女の美しさの絶賛を、よく聞かせてくれていたころの発言だ。(つまりは、のろけられていたわけだ)ドレスも、何度も彼女の試着を見ることを重ねて、特徴や魅力の細かい違いがわかってきてしまったらしい。理系の研究者らしく、こだわりはある。式の場所はいったいどこにするのだろうと思っていたら、表参道を選んだのだという。花嫁さんは結局どんなドレスにしたのだろう、と興味が尽きなかったが、マーメードラインのシンプルな一枚だった。思わずうなったのは、私と花嫁さんの体系はまったく対照的で、彼が私に勧めたプリンセスラインのドレスを彼女が着た場合、ちょっと貧相に見えたであろうことと、逆に、私がマーメードラインを着た場合、人魚には程遠く、人魚のモデルといわれている動物に近づいてしまうことが、わかってしまったからだった。花嫁さんに一番似合っているものが選ばれていた。さすがだ。そんなこだわりの友人の勧めで、私自身が結婚するときも、同じように結婚式場めぐりに明け暮れ、ドレス選びに悩んだ。こだわりが伝染し、結局ドレスはフルオーダーで作ることになった。お世話になったお店は表参道にほどちかい青山にある。ドレスの打ち合わせや仮縫いのたびに、友人夫婦が式を挙げた、表参道の結婚式場の前を通る。1Fにカフェが併設されていて、式を挙げた新郎新婦のお披露目に、お客さんも参加できるスタイルで、祝福のおすそ分けをしていた。しんどくなってきたときは、友人夫婦が見せてくれたものを思い出していた。自分の結婚式も経た今、あの表参道の結婚式場は、幸せへの階段のシンボルのように思えてならない。懐かしいかぎりだ。 Check